表題番号:2024C-264
日付:2025/04/10
研究課題幕末・明治初期の佐賀藩が有した製鉄・鋳物に関する技術の分析
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等学院 | 教諭 | 神代 瑞希 |
- 研究成果概要
- 幕末・明治初期の佐賀藩が有した製鉄・鋳物に関する技術に関して、昨年度に引き続いて調査および研究を継続・展開した。幕末期の佐賀藩は、日本国内において高いレベルで科学や工業に関する技術力を有していた。特に製鉄に関しては、全国に先駆けて反射炉の建設を成功させるほどの技術力であり、和製大砲の製造において大きく貢献していた。そうした成功には、外国の文献を的確に読み解き、分析する力と文献に対応する技術力が不可欠であった。藩内には、刀剣や鋳物などを生産する技術を涵養する素地が元来備わっており、そうした技術者たちの存在が藩全体の高い技術力を支えていた。本研究では、そのような技術者たちや技術力について既往研究・調査を継続した。特に、反射炉建設に携わり、御用鋳物師であった谷口家に関して調査した。谷口家は、幕末・明治期に製鉄や鋳造で活躍した一族であり、明治期においては県内最大規模で事業を展開することに成功していた。製作物・鋳造物は県内および近県に現在でも残されており、そうした生産物や関連する文献より、その技術力をうかがうことができる。本年度は現存する鋳造物や人物に関して現地調査を伴いながら文献を調査した。文献調査は、主に佐賀県立図書館の郷土資料室やデータベース、佐賀大学地域学歴史文化研究センターなどにて資料を閲覧・収集した。既往研究を調査し、幕末期に関する報告書ならびに主に明治期の関連資料を収集した。文献調査により、県内における製作物に関して整理することができたが、より一層の情報を収集する必要がある。また、研究者や郷土史家とのディスカッションを通じて知見を深めることができたため、その指導に基づいて調査・研究を継続する。今後においては、現地調査により収集した資料の読み込みや更なる文献調査を継続して取り組む必要があるため、引き続き調査を継続して得られた調査・研究成果を整理・発表する。