表題番号:2024C-262
日付:2025/11/10
研究課題ギュスターヴ・フロベールの作品における18世紀フランス啓蒙思想家の影響―宗教的側面―
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 高等学院 | 教諭 | 中野 茂 |
- 研究成果概要
近代小説を完成させたといわれている19世紀フランスの作家ギュスターヴ・フロベールに関して、従来は19世紀の枠の中から、あるいは20世紀文学への影響という観点から論じられることが多かった。しかしながら、さまざまな資料から明らかになりつつあるように、フロベールは18世紀というパラダイムの中で思考し、執筆した作家であった。彼は18世紀の作家と対峙することにより自分の文学的立場を確立していったのである。
それゆえ、申請者は2009年よりフロベールと18世紀文学との関係についての研究を展開し、今まで査読論文や共著書の中で、ヴォルテールやベルナルダン・ド・サン=ピエール、さらにはサドやルソーがフロベールに与えた影響について論じ研究基盤を築いてきた。18世紀の作家の中でもとりわけ啓蒙思想家の宗教に関する記述の影響は大きく、その影響は作品の細部にまで及んでいる。それゆえ2023年度は、フロベールの小説の決定稿のみならず草稿に現れる啓蒙思想家の影響の射程を宗教的側面に絞って解明した。