表題番号:2024C-260 日付:2024/10/30
研究課題タイ国の科学教育における 科学のプロセススキルと21世紀スキル
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 中島 康
(連携研究者) カセサート大学 准教授 チャトリー・ファイクハムタ
研究成果概要
 タイ国の初等・中等科学教育は科学を学習するためのスキルの習得を極めて重視していることが,本研究により示された.
 特に,タイ国の小学校科学教育について,以下の3点があきらかとなった.
1) 科学のプロセススキル(14種類)と21世紀スキル(6種類)が極めて明示的に定義され(スキルによっては限定的に要素化され),タイ国の教育省科学技術教育振興研究所から出版されている小学校教科書の全単元に,スキルの習得を目標とするアクティビティが設置されている(小学校教科書全体で,アクティビティの総数は約140). 
2)『観察』・『推論』・『解釈と結論』・『コミュニケーション』・『コラボレーション』スキルはそれぞれ全アクティビティの80%以上で取り上げられている.また,『データの整理と伝達』・『モデリング』・『クリティカル・シンキング』・『ICTの利用』スキルについては,それぞれ全アクティビティの20~50%で習得目標となっている.これらの9スキルは繰り返し学ぶべき対象となっている事が示唆される.『分類』・『予測』・『測定』・『空間と時間の関係』スキルについてはそれぞれ全アクティビティの10~20%で習得目標となっている.
3)上記のように繰り返し取り上げられるスキルの他に,『創造性』・『変数の定義と制御』・『実験(検証)』・『運用定義』・『問題解決』・『数の利用』・『仮説設定』スキルがそれぞれ全アクティビティの10%未満で習得目標とされている.これらスキルは頻繁に学ぶべき対象とは言えないが,『変数の定義と制御』・『実験(検証)』・『運用定義』・『仮説設定』等は互いに関連付けられ詳細に取り扱われている.