表題番号:2024C-257 日付:2025/05/05
研究課題双曲空間におけるCoxeter多面体について
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 野中 純
研究成果概要

任意の隣接面角がπの整数分割角となる凸多面体をCoxeter多面体という。このCoxeter多面体は各面に対して,その面を含む超平面における鏡映変換を生成元とする群(このような群をCoxeter群という)を考えることができる。このCoxeter多面体やCoxeter群に関して多くの先行研究がある。この1年間の研究活動では,双曲空間におけるCoxeter多面体と,それによって定まるCoxeter群に焦点をおき,以下の(1)から(3)に分けられる。

(1)  3次元双曲空間におけるすべての隣接面角が等しいCoxeter多面体は,隣接面角がπ/2であるものと,π/3であるものに限る。ここでは後者の,すべての面角がπ/3あるものを研究対象とした。すべての面角がπ/3である3次元双曲Coxeter多面体のうち,体積が2番目,3番目に小さいものを決定した。また,このような多面体の中で,Atkinson2009年に発表したものと異なる多面体の列も構成した。なおこれらは,大阪公立大学の吉田はん氏との共同研究によるものである。

(2)  4次元双曲空間における理想直角多面体から定まるCoxeter群の増大度について調べた。

この増大度が代数的整数であることとその特性を調べ,多面体の面数や理想頂点数との関係も調べた。

(3)  4次元双曲空間におけるあるCoxeter多面体について,それと合同な多面体を複数用意し,合同な3次元面でそれらを貼り合わせることで,新たなCoxeter多面体の列が考えられる。このようなものを対象とした研究として,梅本氏の2014年の結果があげられる。この梅本氏が扱ったものとは別のCoxeter多面体をもとにして多面体の列を与え,それに対するCoxeter群の増大度を調べた。この増大度を与える方程式の解の分布がどのようなものになるかがわかった。

上記の(1)については,Kodai Mathematical Journalに掲載予定であり,その結果の一部に関して,Fribourg大学で行われたOberseminar Geometrie にて2024417日に講演した。また,(2)(3)については,現在まとめている最中である。