表題番号:2024C-256 日付:2025/02/27
研究課題日本語学習者の談話管理のストラテジーに対する捉え方に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 日本語教育研究センター 准教授 吉田 好美
研究成果概要
2024年度特定課題「日本語学習者の談話管理のストラテジーに対する捉え方に関する研究」では、これまでの研究成果を活かし、授業内での実践を行った。今年度は主にその成果を公表し、具体的なフィードバックを得ることを目的に、2回の研究発表を実施した。
まず、日本語教育国際研究大会において、「言語行為における『適切さ』を考える授業の実践報告 ―語用論的観点から捉える日本語―」と題したポスター発表を行った。学生からは、「適切さ」に明確な正解がないため「正確さ」を重視した指導を求める声があった一方で、ストラテジーや談話の展開パターンに初めて触れ、興味を持ったとの意見が得られた。また、日本語のコミュニケーションを主体的に考える点が新鮮だったとの声も多く、本実践が語用論的視点を養うことに有効であることが示唆された。海外の日本語教育への応用可能性も評価され、具体的な方法について議論が交わされた。
次に、海外日本語教育学会 2024年度第3回研究例会において、「日本語の語用論的理解を促進するオンライン授業の実践 ―SNS文化と打ち言葉を題材としたアプローチ―」と題した口頭発表を行った。本実践では、日本のSNS文化や打ち言葉を取り上げ、海外在住の学習者がオンライン授業を通じて語用論的理解を深める可能性を検討した。国内での実践ではあるが、多くの海外在住日本語学習者が参加し、日本語と自国の言語・文化の違いを比較する機会となった。これにより、学習者は単なる言語知識の習得にとどまらず、使用場面に応じた適切な表現を考える力を養うことができた。聴衆からは、海外の日本語教育にも有益であり、学習者の動機付け向上にも寄与するとの評価が得られた。これにより、オンライン授業でも語用論的視点から日本語を考察する有効性が示唆された。