研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 国際学術院 国際教養学部 | 教授 | 片岡 貞治 |
- 研究成果概要
アフリカ大陸では、西部アフリカに多くのコミュニティが存在する。フランスのアフリカ進出に伴い、海岸沿いの国から拠点を形成していった。
レバノンからの移民で初期に多かったのは、少数派のキリスト教徒マロン派であった。西アフリカに進出したフランスの影響力があったからである。非イスラム教徒に対する重税などの義務から逃れるため、母国を後にした者が多かった。その次がイスラム教少数派のシーア派である。一般的に、少数派は仲間内での連帯意識が強い傾向があるが、アフリカのレバノン人もまた同じ傾向がある。内政が安定しないアフリカ諸国で、レバノン人は互いに融通し合い、助け合って、家族として根を下ろし、アフリカ大陸でも有数の大規模コミュニティを築き上げた。しかし、現在ではシーア派が大多数を占める。ダカールとアビジャンのレバノン人の90%以上がシーア派である。
19世紀後半から最初の移民が上陸し、レバノン人移民の大多数の最初の目的地となったセネガルには、3万人以上が存在する。2022年現在で、西アフリカの最大のレバノン人コミュニティは、コートジボワールに存在する。10万人以上が居住するとされる。
しかしながら、20年後には、その座はナイジェリアに奪われるであろう。アフリカ大陸最大の人口を抱えるナイジェリア市場の大きさから、磁石のようにレバノン系起業家がナイジェリアに集まってきているのである。ヒジャジ(Hyjazi)(コートジボワール)(流通業、不動産)、オマイス(Omaïs)(セネガル、コートジボワール)(食料品の製造、流通)、ダルウイッシュ(Darwich)(ナイジェリア)(通信業)などが代表的なレバノン人移民のビジネス大家族であるが、こうした著名なビジネス大家族は少なくとも30家族以上存在する。また、近年では南アフリカにおけるレバノン人の活動も活発になってきている。