表題番号:2024C-228 日付:2025/04/15
研究課題成人における生活場面別の身体活動・座位行動とウェルビーイングの関連
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 岡 浩一朗
(連携研究者) 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 石井
(連携研究者) 筑波大学体育系 准教授 柴田愛
研究成果概要
孤独感や幸福感は一般的な感情であり、成人におけるウェルビーイングについて検討していく上で中核的な概念である。一方、睡眠、座位行動、中高強度身体活動、低強度身体活動といった日常生活における諸行動は、メンタルヘルスと大いに関連することが知られている。しかしながら、これら24時間を占める行動と成人における孤独感や幸福感との関連について検討するために、組成データ解析(Compositional data analysis: CoDA)を用いた先行研究は存在しない。本研究では、成人における24時間行動パターンがこれらの感情とどのように関連しているかをCoDAを用いて検討した。本横断的研究には、2023年に実施されたオンライン健康調査に参加した2059歳までの2,718人の成人が分析対象者に含まれた。参加者の24時間行動(睡眠、座位行動、中高強度身体活動、低強度身体活動)は、典型的な1週間の時間使用に関する質問紙を用いて評価された。孤独感はUCLA 3-Item Loneliness Scaleを用いて評価し、幸福感は現在の幸福感に基づいて自己報告で回答を求めた。ロジスティック回帰を用いた組成データ解析を行い、日々の行動の組成が孤独感や幸福感とどのような関連があるかについて調べた。その結果、対象者のうち1,214人(44.7%)が孤独感を感じ、739人(27.2%)が現在不幸であると回答した。他の行動と比較して、座位行動に費やす時間が長いと、孤独感が増大し、幸福度が低下することが分かった。座位行動の時間を睡眠に置き換えた場合、孤独感と幸福感の両方の推定値が改善した。530分の座位行動を低強度身体活動に置き換えることは孤独感の低減と関連し、座位行動を中高強度身体活動に置き換えることは幸福感の増大と関連していた。これらのことから、座位行動を睡眠および身体活動に置き換えることが、成人におけるウェルビーイングに不可欠である可能性が示唆された。