表題番号:2024C-227
日付:2025/04/02
研究課題脳波計測による脳持久力トレーニングの効果検証
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 | 教授 | 正木 宏明 |
(連携研究者) | バーミンガム大学 | 教授 | Ring, Christopher |
(連携研究者) | スポーツ科学研究科 | 大学院修士課程1年 | 中山夏妃 |
(連携研究者) | スポーツ科学研究科 | 大学院博士課程3年 | 木村勇大 |
(連携研究者) | スポーツ科学研究科 | 大学院博士課程2年 | Sukuti, Murat |
- 研究成果概要
認知課題の長時間遂行に伴う精神疲労(mental fatigue: MF)はあらゆる作業成績を低下させることは良く知られている。しかしながら,MFを逆手にとって作業成績向上のためのトレーニングに適用する有効性が指摘されている。アスリートがMF状態で運動トレーニングを継続することによって,レジリエンスが高まり競技場面やプレッシャー場面でもパフォーマンスを落とさず良好なパフォーマンスを発揮できるという。これは脳持久力トレーニング(brain endurance training: BET)と呼ばれ,近年その効果が検証されつつあるが,その背景にある脳活動は未だ不明である。本研究では,BET効果の前提をなすMF状態時にどのような脳活動が生じているかについて脳波計測を通して調べた。実験参加者には市販の認知課題アプリで3種類の課題(2-back課題,注意スィッチング課題,タスクスィッチング課題を各10分間)と,これら課題の前後にGo-Nogo課題を遂行してもらった。実験では,課題の認知負荷の異なる高負荷条件と中負荷条件の2セッションを設定した。また,認知課題遂行の前後にはベンチプレス課題を行い,MFによって力量発揮成績がどの程度低下するか確認した。脳波はGo-Nogo課題遂行時のエラーモニタリング機能を調べた。実験の結果,高負荷条件と中負荷条件との間にMFの違いは認められず,ベンチプレス課題にも差がなかった。しかしながら,エラーモニタリング機能は高負荷条件のほうがより減弱する傾向であった。本研究の結果から,MFに伴う前帯状回機能の低下がレジリエンスを高める必要条件であることが示唆された。