表題番号:2024C-220
日付:2025/02/08
研究課題多文化共生プランの策定市町村による事業実施の実態と課題
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 准教授 | 古山 周太郎 |
- 研究成果概要
外国人住民に対する行政サービスの提供や、外国人住民の社会参画支援等の「多文化共生事業」は、その大部分が基礎自治体によって担われているが、その取り組み状況は自治体によって大きく異なる。また、「多文化共生推進プラン」も一部の自治体で策定されているものの、その実態は明らかになっていない部分が多い。そこで本研究では、「多文化共生推進プラン」を策定してる市町村や、多文化共生事業を実施している市町村にインタビュー調査を実施し、その取り組みの実態と課題明らかにすることを目的とした。
調査対象は4市町であり、2市町は多文化共生プランを策定済であり、2市町は多文化共生事業には取り組んでいるものの、プラン策定までは至っていなかった。プラン未策定の理由としては、計画策定コストの問題や行政の人員不足が要因として挙げられており、自治体規模が策定に影響を与えていることが示唆された。しかしながら、プラン未策定の場合でも、実際に住民と外国人の交流事業は実施し、その成果や影響に対して肯定的な評価を与えており、多文化共生事業自体は有意義であると位置づけていた。
多文化共生プランを策定済の市町のうち、外国人人口比率が比較的高い自治体では、外国人を社会の構成員として位置付けて、専用窓口の設置や多言語による情報提供など、外国人へ行政サービスを行き届がせるための施策に取り組んでいた。さらに、人口減少対策として次世代の市民育成を目標に、就学前の外国人児童への教育や支援に取り組む計画を立てている。一方、プランを策定しているものの、具体的な多文化共生事業には取り組んでいない自治体では、まずは市民の外国人理解への啓発や、行政各部局に対して国際交流から多文化共生への意識変化を促すことを策定の主な目的としていた。