表題番号:2024C-215
日付:2025/02/15
研究課題人生の現象学に関する基盤的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 教授 | 森岡 正博 |
- 研究成果概要
本年度は、現象学的視点から「人生の意味の哲学」に接近する試みを行なった。これはまだ先行研究のほとんどない研究であり、全体像を構築するために時間をかけた。その成果の一部を、まず2024年6月にリバプールで開催された国際学会6th International Conference on Philosophy and Meaning in Lifeにおいて、「Affordance, Enaction, and the Geographical Model of Meaning in Life: A Phenomenological Approach」と題して発表し、研究者たちと意見交換を行なった。そこで得られた知見をもとにして、このテーマで論文原稿を完成した。本研究は、人生の意味の哲学に対して、アフォーダンスおよびエナクションの観点から接近することである。まずアフォーダンスと密接な関係にあるソリシテーションの概念を人生の意味に適用することによって、ソリシテーションへの主体からのリアクションとして人生の意味を探る行為が位置づけられる。さらにエナクションの概念を人生の意味に適用することによって、人生への探索行為へのある種の反射として主体の眼前に広がってくる多様な風景として人生の意味を捉えることができるようになる。この風景は主体を取り巻いて広がる地理学的展開とも言えるものであり、私はそれを「人生の意味の地理学的モデル」と名づけた。今後、このモデルを深化させて、他の領域と接続し、さらに研究を広げていきたいと考えている。本年度の研究は、多数の国際学会での発表によって公開された。来年度に向けてそれらを論文化する予定である。