表題番号:2024C-203
日付:2025/04/02
研究課題狭山丘陵における非人為影響下だった二次林における生態系サービスの評価
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 教授 | 平塚 基志 |
- 研究成果概要
- 本研究では狭山湖周辺のコナラ二次林を対象に、生態系サービスの評価を進めた。とくに、人為影響として、継続的な薪炭林として利用されてきた管理地の水源涵養機能の評価を進めた。薪炭林として繰り返し伐採・萌芽更新され、かつ堆積有機物(落葉堆肥用のリター)の利用が周期的にされていたコナラ二次林における水源涵養機能に関する研究は少ない。本研究では、周期的に利用されていたコナラ二次林、そしてヒノキ人工林を対象に雨水の直接流出量を比較し、両林分の水源涵養機能の評価を行った。調査は、埼玉県所沢市の狭山丘陵北部のコナラ二次林とヒノキ人工林とした。両林分とも17~20度程度の斜面の立地していた。雨水の直接流出量、樹冠通過雨量、リターバイオマス、相対照度を測定した。直接流出量はコナラ二次林がヒノキ人工林に比べて著しく少なく、樹冠通過雨率(樹冠通過雨量/林外雨量)についてもコナラ二次林の方が小さいことがわかった(p < 0.05)。また、リターバイオマスはコナラ二次林がヒノキ人工林の3.5倍であり、相対照度はヒノキ二次林の方が低かった(p < 0.05)。コナラ二次林とヒノキ人工林で直接流出量の差が大きかった主な原因として、リターバイオマスの差が大きく関係していると考えられた。コナラ二次林では過去に堆積有機物が落葉堆肥用に利用されていたが、それは浸透能を低くしていたと推察された。