表題番号:2024C-202 日付:2025/03/29
研究課題遺伝子操作と道徳的義務:包括的な倫理的枠組みに向けて
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 先端社会科学研究所 助手 高江 可奈子
(連携研究者) National University of Singapore Professor Julian Savulescu
研究成果概要

本研究は、ゲノム編集や幹細胞研究などの生命操作技術を中心とする先端科学技術によって、応用倫理学の中で論じられてきた倫理的議論がどのような限界や問題に直面するのかを明らかにし、新たな倫理規範を探究することを目的とする。
  本研究では、既存の倫理的議論の限界が個体の生成過程への技術的介入および操作によって生じるという見方のもと、応用倫理学分野の重鎮であるジュアリン・サバレスキュ氏と共著論文(“In Defense of Moral Status Nullification: A Framework for Ethical Animal Modification"「「道徳的地位の無効化を擁護する:動物の倫理的改変のための枠組み」)を執筆した。American Journal of Bioethicsに投稿・査読期間を経て、20253月末までに再投稿予定である。
  また、2024年6月には京都大学の児玉聡氏のもとで開催された倫理学のワークショップにて発表し、有益なコメントおよびフィードバックを得た。そして、20247月から8月の二ヶ月間、スイスに滞在し、新たな倫理規範として、道具化の再考に基づく関係アプローチを構想した。この構想は、スイス滞在中に訪問したドイツのミュンヘン大学のニール・ナイロム氏のインフォーマルゼミにて研究発表し、今後につながるフィードバックを得ることができた。