表題番号:2024C-201 日付:2025/02/04
研究課題戦後日本共産党系平和運動(平和擁護運動)の展開過程に関する実証研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 先端社会科学研究所 助教 長島 祐基
研究成果概要
 本研究課題助成は以下の形で利用した。①敗戦~1950年代を中心とする平和運動、国際連帯運動に関する古書や図書の購入費用、②広島県立文書館に所蔵されている「藤原浩修氏収集資料」(未整理)内の「且原純夫資料」の調査費用、③その他文献複写費用。②は2024年5月に実施し、「且原純夫資料」内から1950年頃の広島地方の日本共産党系平和運動関係の資料(主に機関紙類)を複数確認した。今後調査結果を踏まえて論文等を執筆する予定である。
 この他に本研究課題のテーマを更に深めていく上で極めて重要な資料とアクセスが出来た。それが戦後に平和運動や国際連帯運動に関わっていた淡徳三郎(評論家)の資料である。2024年8月頃にご遺族から資料に関する相談をいただき、現在までにご遺族への聞き取りや一部資料の調査を実施した。同資料は(1)1950年代~1970年代の淡徳三郎の日記、(2)淡徳三郎が記した原稿(翻訳や演説原稿など)、(3)ヨーロッパやアジアを歴訪した際の写真や家族とやりとりした書簡などからなる。同資料は平和運動や国際連帯運動に関する詳細な記録であり、本研究課題のテーマを探求していく上で不可欠の資料である。
 同資料については今後ご遺族の了解の元で写真撮影や文字起こし、資料集の刊行などを行う予定である。淡徳三郎資料の調査が可能となったことから、今後を見据えて淡徳三郎が関わっていたアジア連帯委員会関係の機関紙を購入した。外部資金への応募としてはアジアの歴史や交流に関する研究の助成を行っている「JFE21アジア歴史研究」に応募した。結果は残念ながら不採択だったが、次年度以降は淡徳三郎資料の調査を踏まえて淡徳三郎資料の調査と資料の文字起こし、資料集刊行に向けた資金として応募する。具体的な資料の調査、研究に関する応募であり、資料の価値が極めて高いため、採択される可能性は比較的高いと考えている。