表題番号:2024C-200
日付:2025/03/04
研究課題1960年代のスダメリカナ社の出版活動と総合週刊誌の連携
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 教授 | 寺尾 隆吉 |
(連携研究者) | 法政大学国際文化学部 | 教授 | 大西亮 |
- 研究成果概要
- 1960年代にアルゼンチンのスダメリカナ社から刊行されて、批評面・商業面の両方で大きな成功を収めた作品、とりわけ、フリオ・コルタサルの長編小説『石蹴り遊び』(1963)と短編小説集『遊戯の終わり』(1964)及びガブリエル・ガルシア・マルケスの長編小説『百年の孤独』(1967)と中編小説『悪い時』に注目し、その刊行過程と刊行後に同出版社と当時の有力総合週刊誌『プリメラ・プラナ』による連携がどのような影響を及ぼしたのか検証した。誌面にどのような広告や告知、書評や関連記事が掲載されたのかについては、2024年度ラテンアメリカ学会パネルA「ラテンアメリカ文学のブーム」の舞台裏―出版業、新聞・雑誌、文学賞と小説文学をめぐるネットワーク」において「スダメリカナ社と雑誌『プリメラ・プラナ』の連携 ―『百年の孤独』の成功の内幕」という形でまとめた。並行して、2023年度から進行中の科研費研究(基盤研究C)「ラテンアメリカ小説の世界展開とスダメリカナ社の出版戦略(1959年~1976年)」連携させた研究も進め、『石蹴り遊び』と『百年の孤独』の出版過程を詳細に辿った論文「スダメリカナ社の出版戦略とラテンアメリカ文学のブームー『石蹴り遊び』と『百年の孤独』の刊行」を発表した。また、『百年の孤独』とラテンアメリカ文学のブームの興隆については、論文「「ラテンアメリカ文学」の誕生―ガルシア=マルケスの戦略とその遺産」にまとめた。さらに、研究のための小説テクスト分析の一環として、『悪い時』の全文を翻訳し、これを単行本として刊行した。巻末に収録した解説と年表では、ガルシア・マルケスの書誌を中心に、これまでの研究成果を盛り込んだ。