表題番号:2024C-197 日付:2025/02/05
研究課題リアルオプションに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 葛山 康典
研究成果概要

本研究では、研究開発(R&D)投資に関するリアルオプションを分析し、特にR&D成功が確率的に変動する状況を想定している。くわえて、R&Dの対象となる技術の価値も同様に変動し、かつR&Dの成功確率が開発対象の価値に相関を有する場合を想定している。例えば、化石燃料の高騰は、Renewable なエネルギー技術の進歩を促進するであろう。

このようなR&Dプロジェクトのリアルオプションの評価と、最適投資時点を与える解にもとづいて、数値計算を行い解の特性を分析した。ここでR&Dの成功確率は平均回帰の項を有している。R&Dにおいて、対象技術開発の難易度が一定程度想定されるため、1)技術の価値と相関を有するランダムな確率的変動の影響を受けながらも、2)本源的なR&Dの困難さをあらわすパラメータに修練する構造を持っているが、双方の影響によって、どのように意思決定が変化するかに関する数値実験を継続して行った。

また、成功確率の初期値をどのように与えるかに応じてモデルの挙動が大きく異なるとが想定される。一般に、R&Dの成功確率に関する確率過程は直接観測することが困難である。そこで、このモデルでは現在の技術の価値の過去の変動から、成功確率の初期値を推定することで成功に関する不確実性を導入している。現在の資源価格の動向等の影響が成功確率の推定にどのような影響を与えるかについても、同時に検討を行っている。

また、新たな課題として近年多くの企業で導入されている株式報酬制度について、導入が企業価値の工場に結びついているかどうかについて、因果推論の立場から検証を行った。