表題番号:2024C-187 日付:2025/03/07
研究課題サポートベクターマシンのための深層カーネル関数の学習法とその応用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授 古月 敬之
研究成果概要
  本研究は、サポートベクターマシン(SVM)のための深層カーネル関数を合成し、データから学習する技術の開発を目指すものである。従来では、カーネル関数合成法として、multiple kernel learningという方法があるが、カーネルのレベルでデータから合成カーネル関数のパラメータを推定する方法が確立されず、課題として残されている。そこで本研究では、システムモデリングと同定を通して、間接的にSVMのためのカーネル関数の構築を行う。具体的に、まず、分離境界線を近似する目標として、区分線形モデリングを行い、パラメータに関して線形である回帰モデルを構築する。次に、回帰モデルの回帰ベクターを入力空間から特徴空間への陽的なマッピング関数として、その内積で深層カーネル関数を合成する。これによって、SVMのための深層カーネル関数をデータから学習することを実現する。さらに、半教師付き学習および欠損値がある非線形分類や予測問題へ適用し、高性能な非線形分類器や予測器の構築を行い、深層カーネル関数の学習法の有効性を明らかにする。本年度では、深層学習を行うためのGPGPU計算環境を充実した。ニューラルネットワークによる2進数配列の生成器を構築し、ゲート付線形ネットワークによる区分線形モデリング法を開発し、分離境界線のモデリングを行っている。具体的に、深層ニューラルネットワークを教師有・教師無・転移学習で訓練し、ゲート付線形ネットワークとゲート信号生成器に分解する技術、ゲート付線形ネットワークに基づく区分線形モデルの構築法、2進数配列となるゲート制御信号に基づく区分線形モデリングのための高度なパーティション化技術の開発を行っている。これにより、サポートベクターマシン(SVM)のための深層カーネル関数を合成し、データから学習する技術の基本構成を確立している。