表題番号:2024C-184 日付:2025/04/12
研究課題革新的水冷却高速炉の過酷事故時炉心反応度特性の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院先進理工学研究科 教授 山路 哲史
研究成果概要

革新的水冷却高速炉は圧力25MPaの超臨界水を原子炉冷却材に用いる高速中性子スペクトル炉であるため、運転時の炉心は最大反応度体系にはない。このため、冷却材喪失事故時等に炉心に正の反応度が投入される可能性がある。本研究では、冷却材喪失事故時の炉心水位低下に伴う炉心部の中性子スペクトルの硬化と中性子漏洩率の増大等を考慮したモンテカルロ法による中性子輸送計算を実施し、冷却材喪失事故時に炉心部に投入される反応度を評価した。解析コードにはMVP及びJENDL-4.0核データライブラリを用いた。統計誤差低減のためヒストリ数は10000、バッチ数125、捨てバッチ数25とした。プラントの過渡挙動解析には1点近似動特性解析と単チャンネル熱流動解析を連成したASYSTコードを用いた。その結果、主蒸気配管破断直後の炉心水位の低下に伴う投入反応度が支配的であり、その後の炉心溶融に伴う中性子スペクトルの硬化の影響は限定的であることが分かった。これらの結果から、革新的水冷却高速炉の設計上は、配管破断直後のブローダウンフェーズにおける炉心水位低下に対する対策が重要であることが明らかになった。