表題番号:2024C-181
日付:2025/04/01
研究課題多谷間半導体における谷間散乱の計測
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 理工学術院 国際理工学センター(理工学術院) | 准教授 | 賈 軍軍 |
(連携研究者) | 産業技術総合研究所 | 主任研究員 | 八木貴志 |
(連携研究者) | 中部大学 | 教授 | 山田直臣 |
(連携研究者) | 浙江大学 | 教授 | 葉輝 |
- 研究成果概要
- 光学材料の屈折率や消衰係数など光学定数は、光の強度が低い場合には一定とみなせます。しかし、光の強度が強くなると、光学定数が光の強度に依存して変化する非線形性が現れます。この非線形光学現象を利用すると、レーザー波長の変換など、通常の光学系では実現できない多彩な光の操作が可能になります。しかし、従来の非線形光学材料は、高強度レーザーなどの照射によりある決められた波長において光学非線形性が発現するのが一般的でした。本研究課題では、多谷間半導体であるゲルマニウム(Ge)薄膜を研究対象とし、パルスレーザーを集光照射することで、本来不透明な複数の波長領域において、超高速でその透明度を制御できることを実証しました。また、フェムト秒時間スケールでの現象を解析できるPump-probe計測装置を開発し、この現象の詳細を解明しました。その結果、高密度な光励起を受けたGeでは、励起された電子が瞬時にGeの複数のバンド谷(多谷間)に緩和・分配され、瞬間的にバンド端の空軌道を占有することが原因であることが明らかになりました。これらの研究成果はPhysical Review Applied, 23, 024060, (2025)にて公開されました。