表題番号:2024C-150 日付:2025/04/07
研究課題無機動的結合を有するメタロシロキサンエラストマーの合成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 講師 松野 敬成
研究成果概要

本研究では、可逆的な開裂と形成が可能な無機動的結合の実現に向けて、Si–O–M結合(M: 金属)をもつメタロシロキサンに注目してエラストマーの合成と結合の可逆的な制御に向けた検討を行った。メタロシロキサンエラストマーのネットワーク構造を制御することで水素結合やファンデルワールス力などを利用した従来の動的結合を有する材料に比して機械的特性の向上が見込める。

具体的な実験として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)と金属源の反応により、金属架橋されたPDMSエラストマーの合成を試みた。Tiを用いた系において無色透明なゲルが得られたが、作製したゲルは溶媒に溶解したため、架橋密度が低く三次元的なネットワーク構造が形成されていないことが示唆された。PDMSの代わりに鎖長の短いオリゴシロキサンを用いた検討を行ったところ、FT-IRNMR分析などからオリゴシロキサン同士が縮合して鎖長が新調したことを確認した。これはTi源が縮合反応を触媒しているためと考えられ、架橋反応ではなくPDMS鎖の伸長が進行したため架橋反応が十分に進行しなかったと推測された。そこでオリゴシロキサンの末端官能基の変更によりシロキサン同士の縮合の抑制を試みたところ、PDMSの形成は抑制できなかったものの、溶媒に不要な無色透明ゲルを得ることができた。今後金属サイトの酸化還元による物性の変化を調査していく。