表題番号:2024C-144
日付:2025/02/04
研究課題光照射によって構造変化する新規シロキサン系ナノ材料の創製
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 下嶋 敦 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 講師(任期付き) | 松野敬成 |
- 研究成果概要
- 有機シロキサン材料は、シロキサン結合(Si-O-Si)由来の高い熱的、化学的安定性と、Si-R基(R = 有機置換基)由来の多様な機能をあわせもつ材料であり、幅広い分野で利用されている。ミクロ構造やメソ構造の精密制御によって、高度な機能の発現が期待できる。本研究では、光照射によってメソ構造の可逆的な秩序-無秩序転移を示す、ラメラ構造のアゾベンゼン修飾シロキサン材料を作製した。アゾベンゼンは、紫外光/可視光照射によって可逆的にトランス-シス異性化する代表的な光応答性分子である。従来研究として、光照射によって秩序-無秩序転移を示すアゾベンゼン誘導体の分子結晶や、側鎖や主鎖にアゾベンゼンを有する液晶ポリマーが報告されている。これらの材料は秩序-無秩序転移によって様々な物性のスイッチングが可能であるが、耐熱性や機械的特性の向上に限界があった。本研究では、アゾベンゼン修飾トリアルコキシシランの加水分解と重縮合反応を伴う自己組織化プロセスにより、アゾベンゼン基が配列した有機層と、二次元のシロキサン骨格からなるシロキサン層が交互に積層したラメラ構造を有する薄膜を作製した。このとき、加熱時間変化や原料分子の選択によってシロキサン層の架橋度を精密に制御することにより、紫外光照射によるラメラ構造の崩壊と、可視光照射によるラメラ構造の再形成を実現した。これにより膜の硬度と耐溶剤性の可逆的な変化が起こることを見いだした。特に、耐溶剤性の変化を利用することで、フォトマスクを介して光照射を行うことで、薄膜のマイクロメートルスケールでのパターン化にも成功した。有機シロキサン材料の優れた安定性と相まって、新しい光機能性材料として様々な応用が期待できる。