表題番号:2024C-137 日付:2024/11/11
研究課題単一粒子計測法を用いた熱物性計測手法の開発と応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 松田 佑
研究成果概要
多孔質材料は、触媒やフィルターとして非常に広範な工業製品において利用されている。多孔質体内では、分子やナノスケールの粒子が孔内で壁面に吸着したり、孔内を熱運動したりしており、より機能に優れた材料の開発には、これらの粒子の運動を直接計測し解析することが有効なアプローチのひとつと考えられる。そこで本研究では、単一粒子計測法(Single-Particle Tracking; SPT)により多孔質体内でのナノ粒子挙動の直接計測を実施した。本研究ではまず、画像のSN(signal-to-noise)比を高くしてナノ粒子運動を計測するためにナノ粒子の選定、さらには数密度の調整を行った。MPT計測の結果、多孔質体内でのナノ粒子の拡散係数はバルク溶液中に比べ大きく低下することを確認した。また多孔質体内でのナノ粒子運動は、通常のブラウン運動に近いものから、表面壁へ吸着したものまで多様な形態をとり、これに応じて拡散係数の分布も非常に広くなった。また得られたデータを統計解析することで特異な拡散挙動を示していることを定量的に示した。