表題番号:2024C-130 日付:2025/01/06
研究課題土木工学・地盤工学における赤外分光技術の応用と展開に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 小峯 秀雄
(連携研究者) 創造理工学研究科 建設工学専攻 修士2年 村瀬颯太
研究成果概要
 建設業界では,少子高齢化による労働者不足が問題となっており,ICTやAI等を活用したDX技術の開発による,建設プロセスの効率化・高度化が求められている.特にICT化が必要な建設プロセスのひとつとして,土工現場における地盤材料の成分および状態の測定があげられる.地盤材料は,様々な成分で構成されていること,また同一の成分でも含水状や密度・間隙状態の違いにより大きく性状が異なることより,それらを現場で測定するにはコストと労力がかかるとともに高度なスキルも必要である.そこで,赤外分光技術を用いた,迅速で原位置でリアルタイムに測定する技術が注目されている.しかし,これまで体系的に測定手法の開発は行われておらず,測定方法・測定メカニズムが不明確なまま測定されることが多くあった.そこで本研究では,赤外分光技術を用いた地盤材料の成分・状態量の推定手法を体系的に研究し,用途,対象とする物質,測定範囲を明確にするとともに,測定メカニズムを明確にすることを目的とした.特に今回は,近赤外分光による土の含水状態の推定に着目した.はじめに,近赤外分光センサを用いて,含水比を調整した粘性土のスペクトルを測定した.次に,回帰分析により検量モデルを作成し,含水比推定を行った.最後に,検量モデルおよび推定結果の妥当性を検討し,メカニズムの解明を行った.その結果,赤外分光スペクトルが水分子の存在量と水素結合の強さに関わっていることおよび,作成した検量モデルが高い精度で含水比を推定できることが分かった.また同様の手法を,煤塵のCO2固定化量の定量にも適用した.以上より,赤外線分光スペクトルから,土の含水状態やCO2固定化量を定量する方法を明らかにしたとともに,赤外分光技術が土の状態量の測定に有用であることが示された.(751字)