表題番号:2024C-126
日付:2025/05/12
研究課題建設業界のBPOにおける業務可視化手法に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 教授 | 棟近 雅彦 |
- 研究成果概要
近年,働き方改革により,労働時間を削減することが強く求められている.業界全体の生産性向上の方策として,他社の業務を引き受ける事業であるBPO(Business Process Outsourcing)が行われている.建設業でもBPOが開始されているが,業界全体の効率化につなげるためには,委託される業務が標準化されている必要がある.本研究では,業務方法の違いを把握するための,業務の可視化方法を提案することを目的とする.なお,BPOを行う,K社を事例とした.
まず,調査対象の事例と業務を選定した.次に,書類の内容,形式の整理と,書類が標準化されているかの判断を可能にするために,書類のモデルと,書類が標準化されている状態を検討した.また,事例の書類と,業務マニュアルの調査や,K社の従業員へヒアリングを行い,事例の構成要素一覧を作成した.そして,作成した構成要素一覧を用いて,事例の構成要素を可視化し,標準化が達成されているかの確認,標準化が達成された状態と現状の差異を把握した.さらに,一連の流れを整理した書類の構成要素を可視化する手法を提案し,標準化の達成にむけた提案法の活用方法を検討した.最後に,実例に適用して,有用性,汎用性を検証した.
これまでは,建設業における書類の標準化を推進する際に,1)標準化が達成された状態が不明確で,標準化に向けた方策の検討が難しい,2)ゼネコン・現場間で書類の構成要素の名称と定義が統一されておらず,比較が難しい,3)法律で,書類の内容・形式について,明確な基準が定められておらず,標準の策定が難しい,という問題があった.提案方法により,これらの問題を解決し,建設業における書類の標準化のための基盤を構築した.