表題番号:2024C-121
日付:2025/04/01
研究課題発電・センシング一体化システムの開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 史 又華 |
- 研究成果概要
現在、IoTデバイスはバッテリー依存からの脱却が求められる中、超低消費電力動作が可能なセンサーやウェアラブルデバイスにおいて、エネルギーハーベスティング技術の適用が注目されている。特に、摩擦電気ナノジェネレータ(TENG)は、人体動作に伴う機械エネルギーを電力へ変換する技術として、テキスタイルや生体埋め込みデバイスへの応用が期待されている。一方、TENGの非線形かつ時間依存性を持つ内部容量、非対称出力、高電圧・微小電流特性は、エネルギー変換効率の最大化を妨げる要因であり、回路設計上の課題となっている。そのため、本研究は、TENGの課題を解決し、エネルギーハーベスティング、センシング、情報処理を統合する新たな解決策の提案を目的とする。
本研究では、垂直接触分離型TENG(CS-TENG)および回転型TENG(RS-TENG)の試作に加え、高効率インターフェース回路を設計し、発電・センシング統合システムを開発した。実証実験では、1.5 Hz/3 Hz動作時に1MΩ負荷条件下で、従来の全波整流回路(FWR)と比較し、それぞれ264倍および168倍の出力電力の向上を達成した。さらに、センサー駆動と無線通信機能の実装により、環境発電・センシング一体化システム実現へのブレークスルーを実証した。本成果はIEEE Transactions on Power Electronicsに投稿中であり、超低消費電力デバイス向けの新たなエネルギー自立ソリューションとして産業応用が期待される。