表題番号:2024C-115 日付:2024/10/29
研究課題ビッグデータ解析応用に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 山名 早人
研究成果概要

あらゆるモノがつながり、多種多様量のデータが基盤となるSociety5.0時代、データの利活用の促進のためには、個人情報、プライバシー問題の解決が欠かせない。これを解決する技術として、データを暗号化し暗号のままあらゆる処理を可能とする技術がある。本研究では、2024年度、同暗号の処理速度向上及び安全性の向上のため、隔離実行環境との併用による高速化を実施した。

具体的には、準同型暗号(HE)と隔離実行環境(TEE)との組み合わせにより、レイテンシ、精度、およびデータ保護のバランスをとる「HEPlain in TEE」と呼ばれる新しい組み合わせ方法を提案した。本提案手法では、すべての計算を TEE 内で実行し、HE に適さない操作をプレーン テキスト(平文)で処理し、その他の処理は HE を使用して処理する。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の推論(画像を10分類するCIPAR-10のデータセットを利用して評価)のレイテンシと精度を定量的に評価し、既存手法法と比較すると共に、そのデータ保護機能について定性的に議論した。評価結果によると、提案手法は、既存の最も安全な手法と比較し、レイテンシを90.2%削減し、制度を2.2%向上させることに成功した。なお、最速の既存手法と比較した場合、レイテンシは12.5%増加するが、コードに対する保護(コードへの変更を許さない)を行うことができる点に優位性がある。

本成果は、HE研究の最高レベルの国際会議WAHC2024で発表した。