表題番号:2024C-106 日付:2025/02/04
研究課題衝撃波管を有する軸流圧縮機のサージ突入過程における内部流れ調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 講師 藤澤 信道
研究成果概要

本研究では、航空エンジンの燃焼器異常燃焼に伴う衝撃波発生時の圧縮機内部の流動構造を明らかにすることを目的に、衝撃波管を有する軸流圧縮機の内部流れ場を調査する。特に、衝撃波の強さを変化させることで多段圧縮機の前段から後段を模擬し、衝撃波により誘起される逆流が失速初生およびサージ発生に与える影響を調査する。また、衝撃波の強さに応じた作動点の安定・不安定の分別をすることで、圧縮機の衝撃波の強さに応じた限界作動流量を明らかにする。

衝撃波入射時の内部流れ場の特徴を捉えるために、非定常流速測定を実施する。また、同翼前後での流速の同時測定を行い、ケーシング壁面圧力を同時測定することで、衝撃波入射時の非定常特性を調査する。また、供試軸流圧縮機を解析モデルとして非定常流体解析を実施する。出口境界条件を変更することで試験と同等に衝撃波の強さを変更し入射する。その際の内部流れ場の過渡的な変化を観察し、衝撃波強さと失速初生の関係およびその内部流動構造を明らかにする。

今年度は準備段階として、供試圧縮機を対象とした数値解析コードを確立した。非定常数値解析を実施し、安定運転状態での解析を行った。その結果、圧縮機性能など試験と良い一致が得られた。加えて、失速近傍にて旋回不安定擾乱と呼ばれる不安定流動現象が確認された。旋回不安定擾乱は動翼の翼端漏れ渦の振動による非定常挙動に起因しており、数値解析結果よりその発生メカニズムを明らかにした。