表題番号:2024C-105 日付:2026/01/13
研究課題ナノ素材を利用した高強度フィルムの創出
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 准教授 荒尾 与史彦
研究成果概要

セルロースナノファイバーとグラフェンナノプレートを複合化させて、高強度かつ高弾性率のフィルムの作製を行った。通常、セルロースナノファイバーは完全親水性であり、疎水性であるグラフェンナノプレートとは相性が悪く、混合しても分離した構造となる。底結果、高強度であるグラフェンナノプレートを混ぜることで、弾性率、強度ともに低下することを確認した。セルロースナノファイバーは完全親水性であるが、セルロース分子には疎水面が含まれるため、セルロースナノファイバーを更に剥離して疎水面を露出させることで、グラフェンナノプレートへ吸着することを考えた。具体的には、セルロースを臭化リチウムに浸漬させて結晶構造を緩め、その直後にTEMPO酸化を行うことで結晶内部まで酸化を進行さる。更に圧力ホモジナイザで高せん断を付与することで、結晶構造を崩し、更なる細径化、疎水面の露出を試みた。

 臭化リチウムの前処理を行うことで、通常のセルロースナノファイバーよりも細いナノファイバーが得られ、直径は約3nmから1.36nmまで減少させることができた。また水との接触角度を調べたところ、通常のセルロースナノファイバーでは接触角度は70.2°であったのが、臭化リチウム処理を施すことで79.1°と増加し、わずかながら疎水性が発現されることを確認した。グラフェンナノプレートとセルロースを50:50wt%で複合化させてフィルムの機械的特性を調べたところ、通常の手法では弾性率10GPa程度であったものが、臭化リチウム処理と高せん断を組み合わせることで、弾性率25GPa150%の向上がみられた。これはセルロースの疎水面の露出によりグラフェンナノプレートへの吸着力が強まり、グラフェンへの応力伝達が向上したものと推察される。