表題番号:2024C-103
日付:2025/04/24
研究課題炭素繊維強化プラスチックの超高サイクル疲労における損傷発達機構の解明
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 細井 厚志 |
- 研究成果概要
本研究では90°一方向CFRP積層板の超高サイクル疲労特性を評価し,特に母材のエポキシ樹脂の損傷発達及び自由体積空隙変化の評価を目的として,陽電子消滅法による計測,分子動力学計算を実施した.疲労試験の結果から, S-N線図の傾きが徐々に緩やかとなった.また,陽電子消滅法ではS-N線図上で明らかとなった閾値より大きい負荷を与えた自由体積測定では自由体積サイズが増大し,自由体積の数量(o-Ps intensity)は減少した.一方で,閾値より小さい負荷を与えた測定では自由体積サイズが減少し,自由体積の数量は僅かに増加した.これらの結果から,小さな自由体積が徐々に合体していくことで,より大きな自由体積を生成する可能性が示唆された.分子動力学計算では,自由体積総量の増加が体積ひずみ及び応力三軸度に依存することが明らかとなった.繰り返し変形計算において,ある一定の自由体積を超えると急速に増加することが分かった.1サイクルあたりの自由体積成長速度の評価では,あるひずみレベルを境に一定の自由体積に到達するまでの時間(サイクル数)が大きく変化し,S-N線図上の傾きが徐々に緩やかになる可能性が示唆された.本研究では繰返し応力振幅の影響に着目したが,今後は平均応力の影響や加速試験に伴う負荷時間やひずみ速度依存性について検討する必要がある.