表題番号:2024C-102 日付:2025/02/12
研究課題離散ディラック力学系と離散変分法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 吉村 浩明
(連携研究者) Nanyang Technological University Associate Professor Francois Gay-Balmaz
(連携研究者) Keio University Associate Professor Linyu Peng
(連携研究者) 早稲田大学基幹理工学研究科 修士課程学生 奥脇健心
研究成果概要

天体や宇宙機の軌道計算,分子運動などの保存系の数値シミュレーションに関連して,エネルギー保存則を満たしながら長時間に渡って安定かつ高精度な数値解析手法の開発が不可欠となっている.特に,エネルギー保存性が比較的良い,いわゆる離散シンプレクティック構造を保存する変分的積分法に基づく数値解法が注目されている.しかし,非ホロノミック拘束を受ける力学系では,保存系であっても,シンプレクティック構造を保存しないことが知られており,新たな課題を提示している.本研究では,Yoshimura and Marsden(2006)によって開発された時間連続系に対するラグランジュ・ディラック系の枠組みを時間離散系に拡張し,特に,ディラック構造を保存する数値解法の開発を行うことを目的として研究を実施してきている.本年度は,ラグランジュ・ディラック系の離散変分構造について探究した.このプログラムでは,配位空間の接バンドルを配位空間の直積空間で近似して接バンドルの離散化を行い,また,余接バンドル上の正準2形式と有限差分写像を用いて,離散正準2形式を定義する.その上で,離散ディストリビューションを導入して,ディラック構造に関する離散化手法を提案した.また,Tulczyjewtripleと呼ばれる高階のバンドル構造の離散化を行い,離散正準変換を導入した.その離散バンドル構造の枠組みを用いて,離散ラグランジュ・ディラック・ポントリヤーギン原理による離散ラグランジュ・ディラック系の変分構造の枠組みを提案した.