表題番号:2024C-098
日付:2025/02/04
研究課題多様な量子計算機に適合する組合せ最適化アルゴリズムの研究開発
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 戸川 望 |
- 研究成果概要
- 量子コンピュータは、従来の古典計算システムと比較して,特定の分野あるいはアプリケーションプログラムにて極めて高速な演算や精度の高い解を得ることができるものの,(1)演算に必要なビット数がアプリケーションプログラムの必要とするビット数に比べ小さく,実用規模のアプリケーションプログラムを直接量子コンピュータで演算することができない,(2)量子コンピュータは現在開発途上の計算エンジンであり,量子状態やノイズ等の影響により必ずしも所望の計算結果が得られるとは限らない、といった問題がある.これら量子コンピュータの問題点について,ソフトウェアの観点でカバーしながら,量子コンピュータが持つ計算能力を最大限引き出すことが不可欠となる.そこで本研究では,組合せ最適化問題に焦点をあて,実用問題を想定しながら,量子アニーリングマシン,NISQデバイス,ならびに誤り耐性量子コンピュータに向けて,さまざまな組合せ最適化のためのアルゴリズム基盤を構築する.量子コンピュータに共通アルゴリズム,個別の量子コンピュータに特有のアルゴリズムに整理しながら,各マシンの性能の最大化を目指した.まず旅程最適化問題をモチーフに,原問題から部分問題を抽出し,部分問題ごとに最適化を実行するアプローチを検討した.さらに部分問題を原問題に帰着させた後,いくつかの補正処理を提案し,理論的な裏付けならびに実験評価を行った.実際に複数の地域について旅程最適化問題を実量子コンピュータを用いて求解した結果,提案アプローチの有効性を確認した.さらに量子状態を利用することで,最適化問題の探索空間を制限し,実現可能解を得るアプローチを検討した.量子回路を構築し,量子コンピュータのシミュレータで評価した結果,手法の有効性を確認した.