表題番号:2024C-095
日付:2025/04/04
研究課題日本におけるジョブ・エンベデッドネスの指標探索
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 商学学術院 産業経営研究所 | 助手 | 松井 希望 |
- 研究成果概要
本研究課題は、日本における離職抑制の新たな視点として、「ジョブ・エンベデッドネス(JE)」および「ファミリーエンベデッドネス」といった職務外要因に注目し、それらの構成要素と指標化の可能性を探るものである。
近年、日本では育児・介護等の家庭要因や地域社会とのつながりが離職意思に影響を及ぼす事例が増加しており、従来の職務内要因のみでは説明できない離職の背景が浮かび上がっている。とりわけ日本社会では、職場における家族的配慮や地域との結びつきが強く、職務継続の判断にもこうした要素が深く関与していると考えられる。
2023年度は、国内外の先行研究を通じてJEの構成概念を整理するとともに、P-E fit(個人と環境の適合)との理論的関連性について検討を行い、分析枠組みの土台を構築した。2024年度は、当初予定していた量的調査には至らなかったものの、日本に特有な労働慣行や文化的背景を考慮し、JE構成要素の抽出および質問項目案の作成に取り組んだ。また、既存尺度の適用可能性や新規項目の必要性についても検討を進めた。
次年度は、インタビュー調査を通して質問項目案の妥当性と表現の精緻化を図り、その結果を踏まえてパイロット調査および主調査を実施する予定である。JEの下位次元と離職意向の関連性を統計的に検証し、あわせてファミリーエンベデッドネスの影響も取り入れた包括的モデルの構築を目指す。中長期的には、実務現場での人的資源管理や離職防止施策への応用を視野に入れ、学術的・社会的貢献を果たしていきたい。