表題番号:2024C-088
日付:2025/03/28
研究課題戦略的確率的選択行動の研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 商学学術院 商学部 | 准教授 | 原 和弘 |
(連携研究者) | FGV EPGE | Ph.D. student | Marcel Prado |
- 研究成果概要
本研究は意思決定における確率的選択を、ゲーム理論的な戦略(特に進化的に安定な戦略ESS)として捉え直し、その特徴づけや既存モデルとの比較を通じて、戦略的意思決定と限定合理性の関係解明を目指すものである。研究を進める中でESSとしての確率的選択の特徴づけにおいて数理的な困難に直面した。それと同時に、戦略的状況下での選択を考える上で、プレイヤーが膨大な選択肢の中から実際に考慮する範囲をどのように限定しているのか、という限定合理性の基本的な側面を形式化する必要性が強く認識された。
このため、研究の焦点を当初の確率的選択の分析から、より基礎的で普遍的な現象である「考慮集合の小ささ」の形式化へと移行した。この「小ささ」を厳密に扱うため、「小さい集合」の数学的概念を用い、常に選択結果が全体集合の一部に留まるような選択行動を表す「小さい選択対応 (Small Choice)」を新たに定義した。その数学的な特徴付けを行い、構造を明らかにするとともに、この枠組みを選好最大化、逐次的選択、単調閾値表現、類似性に基づく誤りといった主要な意思決定モデルに適用し、「小ささ」が各モデルのパラメータ(選好構造、効用関数の値域、類似性の範囲など)とどう関連するかを分析した。
これらの研究成果は論文「Small Choice」としてまとめた。