表題番号:2024C-062 日付:2025/04/04
研究課題古典学習単元開発理論とモデル形成のための国文学研究と教育学研究の融合に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 菊野 雅之
研究成果概要
 国語科教育における古典単元の導入のしかけづくり、教材作成と言語活動の工夫について調査を行い、その具体的な単元案の提案を行った。
 単元の導入は、単元を通して育ていたい学習者の姿をイメージすることが重要であり、その姿がイメージできることで、どのような導入が効果的かが明らかとなる。和歌の単元の際には、作品から一字を空白にし、その空白には本来どのような言葉が入るのかをクイズ形式で問う導入が考えれる。このように教材提示を工夫することによって、それ以外の表現、言葉を理解し、解釈することが求められ、そこから得られた情報を元に推論を行う必要がある。
 ここ数年、古典不要論とそれに抗しようとする動きが活発に見られたが、それらの議論には、古典そのものの議論をしているのか、古典の学習の在り方を議論しているのか、古典に限らず人文学全般を批判しているのかといった様々な論点が存在し、ほとんどその整理も行われないまま議論が進んでしまった感がある。こういった議論を行うためには、互いの土台となる問題意識や知見を共有することが必要となるが、それをなしにしての議論は、少なくとも単元をいかに作るのか、古典の学びとは何かを具体的に論じるための視点の提供には至らない。こういったことに陥らないようにするためには、例えば、学習指導要領に代表される共通の土台を決め、それに基づいて議論するべきだろう。とは言え、学習指導要領の文言をいかに理解し、解釈、批評していくのかといった方法論も必ずしも共有されていないため、その読み方、用語の整理なども行った。