表題番号:2024C-058
日付:2025/04/23
研究課題マムルーク朝の軍事奴隷制度と政治体制に関する批判的研究:アヤロニズム批判を超 えて
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 五十嵐 大介 |
- 研究成果概要
シカゴ大学図書館資料調査で入手したワクフ(寄進)文書の精読に努めた。特に、ハーッスバク家という、一族の女性をマムルーク軍人と結婚させることで支配層の中での地位を確立した一族に関連する文書を読み、年代記や人名録などほかの史料にはあらわれないこの一族成員や保有資産の情報を集め、整理した。また、マムルーク軍人のワクフ文書において血縁家族や解放奴隷がどのように扱われているかという情報を収集した。これらは、軍人層の家族関係および主人-奴隷関係を再考するという本研究課題の実践において基礎的な作業である。これらを通じて、2023年に発表した論文「マムルークの家族:ワクフ文書の受益者規定から」の内容を改訂するとともに、それを英語で発表するための準備を進めた。また、マムルークと日本の武士という、中世の軍人支配層の比較研究に関する英文書籍をドイツの出版社から出版するという計画が進められており、これにマム ルークたちの主人-奴隷関係の在り方について論じた"Affection, Affinity, and Trust in Asymmetrical Dependencies: The Relationships between the Master and the Freed Slaves in 15th Century Egypt based on the Waqf Deeds"というタイトルの論文を執筆寄稿した。