表題番号:2024C-056
日付:2024/11/08
研究課題北京大学蔵秦簡の基礎的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 柿沼 陽平 |
- 研究成果概要
2010年に、北京大学は、ひとまとまりの秦の簡牘を入手した。北京大学出土文献与古代文明研究所と考古文博学院は整理チームを結成し、10年以上の歳月をかけて、諸々の鑑定作業や、文字の解読、そしてテクストの研究をおこない、2023年にその内容を正式に出版した。このいわゆる北大秦簡牘の書写年代は、おおむね戦国末期から秦始皇の時代(紀元前3世紀中後期)であり、26の異なるタイプの文献が含まれる。それらは、古代の政治、地理、社会経済、数学、暦法、医学、文学、民間信仰など、多くの分野に説き及んでいる。本研究ではその解読を行った。なかでも「従政之経」は、「官吏とはかくあるべきもの」という秦代官吏像をしめしたもので、秦代の思想・歴史像を再構成するうえで重要である。その簡の配列問題について検討した。すなわち、当該文書は特異な書式をしており、類似の史料は睡虎地秦簡と岳麓書院蔵秦簡にもみえるが、それらは西周時代以来の多くの慣用表現をふまえたものであった。その成果は目下学術論文として発表準備中である。さらに早稲田大学では北京大学関係者をお呼びして、シンポジウムを開催し、関連冊子を作成し、さらにパネル展示も行った。