表題番号:2024C-053
日付:2025/04/01
研究課題映画演技/パフォーマンスの分析に関する方法論的研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学学術院 文学部 | 准教授 | 角井 誠 |
- 研究成果概要
- 本課題は、映画における演技/パフォーマンスの分析をめぐる方法論、理論についての研究を行うものである。映画において、演技/パフォーマンスは重要な要素であるが、撮影や編集など映画固有の要素に比べて研究が遅れてきた。J・ネアモアの『Acting in the Cinema』(1988)を嚆矢として、90年代以降、英語圏やフランス語圏を中心に映画演技研究は一定の進展を見せたが、いまだ発展途上の分野であると言える。本研究では、映画演技研究のさらなる発展を目指し、演技の分析、記述の問題に取り組む。演技/パフォーマンスという言語化困難な対象をいかに記述、分析するかという問題は、映画演技研究にとって大きな課題である。本年度では、先行する映画演技/パフォーマンス論における分析のツールを再検討し、その利点、不足を整理したうえで、動きや音声に関する研究、分析なども参照しつつ、より繊細な分析方法を練り上げることを目指した。方法論に関する包括的な論文は年度内に発表に至らなかったものの、濱口竜介の『悪は存在しない』における演技を論じた論考、クレール・ドゥニの『美しき仕事』における身体表現を論じた論考、ロベール・ブレッソンの映画論、演技論を検討した論考など、個別の作品、作家論における演技に関する分析を行うことができた。