表題番号:2024C-045 日付:2025/04/04
研究課題過激主義の生起メカニズムに関する社会学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 樽本 英樹
研究成果概要
21世紀に入り、世界各地でさまざまな過激主義的事件が起こり、社会秩序は深刻な挑戦を受けている。その一部は国境を越えて浸透するトランスナショナルな過程を形成し、各国に大きな社会変革と民主主義への脅威をもたしている。本研究はイスラム過激主義と極右ポピュリズムに着目し、過激主義の生起メカニズムを2つの視角から把握することができた。第1に、個人レベルの過激化過程を逸脱行動のひとつのタイプとして捉えることができた。第2に集合的レベルでは、累積的過激主義の視角を英国の事例に適用することで、イスラム過激主義と極右ポピュリズムが相互に強め合う過程を確認することができた。今後の課題として、個人の過激化メカニズムの種類を特定すること、累積的過激主義のプロセスを定式化すること、個人レベルと集合レベルとの関連を分析すること、メカニズムが国境を越える条件を探求すること、そして解決の方法を探ることが残されている。