表題番号:2024C-024
日付:2025/03/30
研究課題公務員人事行政における人事行政専門機関の比較法研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 田村 達久 |
- 研究成果概要
- 本研究において公務員人事行政における人事行政専門機関と呼ぶものは、日本においては、人事院(一般職国家公務員の場合)及び人事委員会・公平委員会(一般職地方公務員の場合)である。これら人事行政専門機関が設置されている意義は、公務員人事行政への政党政治の影響を排除して中立的かつ科学的な公務員人事行政を行うこと、および、それにより公務の民主的かつ能率的な運営を保障することなどに認められることは改めて確認しておいてよい。しかしながら、そのうち、公平委員会は、比較的規模の小さい地方公共団体(地方公務員法7条2項・3項)に設置され、しかも、共同設置等もあらかじめ想定されている(地方公務員法7条4項)うえ、権限も任命権者が行う不利益処分等についての準司法的な審査(公平審査)権限を中心とする限定的なものとなっているため、公平委員会を設置する地方公共団体については、前述の人事行政専門機関の設置の意義が十分に実現されているか疑問が生じないではない。このことをはじめとして、日本の人事行政専門機関に係る内在的課題は多い。そのため、今回は本格的な比較法研究の前提となる日本におけるそれら人事行政専門機関にかかる課題等を整理することにとどまっているが、これを基礎として、人事院がアメリカ合衆国の Civil Service Commission(当該機関は1978年の連邦公務員法改革法により、独任制の人事管理庁(Office of Personnel Management)等の複数機関に再編される)に倣って創設されたものであることや、人事委員会が、その権能が同一ではないものの、人事院を範型としていることなどに鑑みて、両国の背景事情の相違や、国家公務員と地方公務員との区別等に留意しつつ、アメリカ合衆国における人事行政専門機関に係る制度との比較研究に今後さらに踏み込んでいく。