研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 土田 和博 |
- 研究成果概要
本課題の研究は、主にデジタルプラットフォームの競争制限的行為に競争法を適用しようとする場合に、どのような困難や限界があるか、それを克服するための対策の1つとしての「事前規制」立法は有効かを検討するものであった。その研究により、デジタルプラットフォームに競争法を適用する必要がある場合、しばしば指摘されるように効果要件(独占禁止法では、「一定の取引分野」や市場の画定、競争の実質的制限や公正競争阻害性など競争に及ぼす影響の評価)に関してだけでなく、行為要件についても(例えば、Google Shopping事件で問題となったGoogleの自己優遇と呼ばれる行為は、単独の取引拒絶、差別的取り扱い、抱合せのいずれの行為要件を充足するか否か)困難や限界があることを明らかにした。
このような研究成果は以下のような形で発表した。第1に、日本経済法学会年報45号(有斐閣、2024年8月)に「デジタル経済と新たな規制の展開」と題する論文を執筆するとともに、2024年度の日本経済法学会大会のシンポジウム(2024年10月、早稲田大学)において、同名の総論報告と質疑応答を行った。
第2に、2024年11月には、中国科学技術戦略諮詢研究院(北京)にて「デジタル時代のイノベーションを促進する法と政策ー日本の経験と教訓」と題する基調報告を行い、デジタルプラットフォームの問題となる行為の中にブレークスルーイノベーションを阻害するものがあること、これを防止するためにも競争法や事前規制立法が必要であることを論じた。また同月、中国・鄭州大学法学院で開かれた中原経済法治フォーラムでは、「デジタルプラットフォームと独占禁止法、取引透明化法、スマホ新法」と題する基調報告を行った。
第3に、2024年12月には、金沢大学法学類において、「デジタル・プラットフォームとスマートフォン競争促進法」という題目で特別講演を行った。