研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 和仁 かや |
- 研究成果概要
本研究は、戦前期に大学を拠点にインテンシヴに調査・蒐集され、今なお重要な学問基盤をなす法制史学の基礎的史料について、関連する資料の調査と蒐集を進めるとともに、それらの翻刻や公表を目指し、長期的な継承のあり方を模索するものである。
2024年度は主に以下の3点を実施した。第一には、2023年に本学で開催された法制史学会第74回総会(法制史学会・早稲田大学東アジア法研究所共催)において実施した「〔ミニ・シンポジウム 1〕「法制史学資料の来し方と行く末-紙媒体資料・蔵書の継承に向けて-」」の活字化および公表である。企画者としても関わった同シンポジウムでは、アーキビスト・ライブラリアンを講演者に迎え、専門的な見地からの提言を得て資料保存と継承に関する議論を深めたが、現時点での問題認識を記録し、今後の指針として残す意義は大きいと考え、登壇者の理解および協力を得て、学会誌への投稿に向けた作業を行った(掲載決定、入稿の上著者校了済)。第二に、現在進めている科学研究費研究課題(基盤(C))「近世債権法史の再検討―九州大学所蔵資料を手掛かりとした研究基盤の再構築―」の成果の、いわば中括となる論考「九州大学法制史料―九州帝国大学法文学部の学問基盤―」を執筆し、これを『法政研究』(九州大学法学部創立百周年記念論文集)に公表した。戦前期から戦後直後にかけて蒐集されたこの史料群は、偏に法制史学に留まらず隣接諸分野の研究資料としても大きな役割を果たしてきているが、ライブラリアンとともに内部資料も含めて精査したところ、漸くその全貌が明らかとなったことで、一つの史料群を素材として、本研究課題に関する具体的な示唆を提供出来たのではないかと思われる。第三に、第二に記した研究課題との関係で調査・収集してきた他のデータの整理・分析作業にも従事した。これらについては、次年度も引き続き進める予定である。