表題番号:2024C-012 日付:2025/11/05
研究課題リモートワーク普及後の家庭での⼆酸化炭素排出削減の研究:OECD7か国調査の活⽤
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 有村 俊秀
(連携研究者) 政経 DC2研究員 Aline Morhta
研究成果概要

リモートワーク普及後の家庭での⼆酸化炭素排出削減の研究:OECD7か国調査の活⽤OECD7か国調査、Environmental Policies and Individual Behaviour Change (EPIC) Survey 2022を用いて、家庭の省エネ行動について分析を行った。

分析結果から、リモートワーク普及後の世帯で、以下のことが示唆された。客観的または主観的にエネルギー貧困と特定された回答者は、省エネを行う可能性が高い。グリーン電力オプション(再生可能電力)、スマートメーター、または時間帯別料金の提供は、一般的に省エネ効果の向上と関連しており、その影響は2%(時間帯別料金)から4%(スマートメーター)の範囲である。これは、スマートメーターが提供するエネルギー使用量情報がエネルギー需要を減少させ得ることを示す先行研究と一致する。

全般的にも以下のことが分かった。省エネ方法に関する情報提供やリマインダーは、省エネ対策の実施に関する知識不足を軽減する効果もある。エネルギー使用量フィードバックの提供を拡大することで、家庭はエネルギー使用をより効果的に監視・節約できるようになる。スマートメーターやサーモスタット・蓄電池などのスマートホーム機器を、電力会社からの自動価格信号や節電信号と組み合わせることで、電気料金や系統警報などの事前設定に基づき消費者が自動的なコスト削減を実現することも可能となる。世帯レベルで観測されたエネルギー使用に基づく証拠は、フィードバックと社会的比較が実際に世帯のエネルギー使用削減に有効であることが示された。

成果は、OECD Environment Working Papers No. 247“Household energy choices: New empirical evidence and policy implications for sustainable behaviour”として公刊された。