表題番号:2023R-041 日付:2024/01/07
研究課題中学理科の実験レポートの質を向上させるICT活用法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 加藤 陽一郎
研究成果概要
 中学理科の火成岩組織の観察実験において、ICT機器の活用法を探究した。ICT機器として、生徒が所有するタブレット型PCのsurfaceを対象にした。顕微鏡観察において、surfaceの外部カメラで動画の撮影を行い、スケッチの補助にした。提出されたレポートから教育効果を検証した。
 生物顕微鏡と偏光板を使用し、火成岩組織の観察を行った。生物顕微鏡のステージに花崗岩もしくは安山岩の切片を置き、LED光源の上に偏光板を貼ったシャーレを置いた。偏光板を貼ったシャーレを回し、色やコントラストの変化により鉱物を区別した。観察時に、surfaceのカメラを接眼レンズに近づけ、動画を撮った。撮影後、動画を再生し、一時停止し、スクリーンショットを撮った。この画像を拡大してスケッチし、同定した鉱物名を記入した。動画の撮影は、サーフェイスのカメラが接眼レンズにうまく固定できないことに対する措置である。動画で少しでも目的の組織が入れば、画像を得られた。スケッチは2種の火成岩(花崗岩、安山岩)に対して行い、残り4種の火成岩(流紋岩、閃緑岩、玄武岩、斑糲岩)は撮影した画像そのものを使用し、生徒はレポートを作成した。2種の完成したスケッチもsurfaceで撮り、パワーポイントのファイルに貼り付け、6種の組織像をまとめた。
 2023年1学期に、中学2年30人学級において、50分×2回の授業でこの観察を行った。結果、30人全員が2種のスケッチをレポートとして提出し、最低限の課題はクリアできた。この中で、6種すべてを提出したのは27%、5種は0%、3~4種が計30%となり、目標達成率には差が出た。しかし、surfaceを利用せずに行った過去の同実験では、6種を完成させたレポートは非常にまれであったため、完全レポートが増えた点で、ICT機器の効果は大きいと評価できる。観察実験では、スケッチ等を主にした従来のレポートを原型とし、ICT機器の活用でその完成度を高めることができることが分かった。