表題番号:2023R-035 日付:2024/04/04
研究課題座位行動のブレイクに着目した就労者の座りすぎ対策を格段に進展させる新知見の創出
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 岡 浩一朗
(連携研究者) 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 石井香織
(連携研究者) 筑波大学体育系 准教授 柴田愛
(連携研究者) 北陸先端科学技術大学院大学 准教授 クサリ・モハメド ジャヴァッド
研究成果概要

本研究では、勤労者を対象に、活動量計ならびに調査票を用いて客観的・主観的に評価した座位行動や身体活動のパターン(総座位時間、ブレイクなど)を明らかにし、健康・労働関連指標のみならず、コーヒー摂取に代表される食習慣との関連についても検討を行った。

3050歳代の勤労者58名を対象とし、場面別座位行動、プレゼンティーイズム、ワーク・エンゲージメント、食習慣(嗜好品摂取、ポリフェノール・カフェイン摂取量など)、睡眠およびストレスに関する調査を実施した。さらに、32名については活動量計の連続7日間装着を依頼し、座位行動および身体活動パターンについて客観的に評価した。

活動量計装着者の平均総座位時間は10.8±1.5時間、30分以上連続した長時間の座位行動は4.5±1.9時間、1日に占める座位行動割合は65.2%であった。場面別座位行動について、総座位時間の50.4%は仕事での座位行動が占めた。また、1日当たりのコーヒー摂取は平均2.8杯、総ポリフェノール摂取量は1298±675 mgであり、半分以上がコーヒー由来であった。総座位時間が長いこととブレイク頻度が少ないことはBMIの高さおよびワーク・エンゲージメント(活力)の低さと有意に関連していた。また、ブレイク頻度の多さはストレス指標(活気)と有意に関連するとともに、コーヒー摂取量とブレイク頻度の多さが有意に関連することが分かった。

勤労者の座位行動パターンは肥満傾向やストレス過多、ワーク・エンゲージメントの低さといった健康・労働関連指標に関与しており、座りすぎ対策が急務であることが明らかになった。一方、コーヒー摂取が多いことと座位行動のブレイク頻度の多さが関連したことは、コーヒーブレイクが座りすぎ対策の1つとして有効である可能性が示唆された。