表題番号:2023R-031 日付:2024/04/05
研究課題Web会議システムを活用した受講者支援を伴うCLIL授業の実践と評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 講師 杉本 清香
研究成果概要
  高等教育の国際化が進むにつれ、多くの非英語圏の国々の大学で英語による専門科目の授業が実施されている。英語による授業の実践方法で最も一般的なもののひとつとしてContent and Language Integrated Learning(CLIL: 内容言語統合型学習)がある。CLILにおいては専門科目と外国語の両方を教えることを目標とするため、その一方のみにフォーカスを絞る他の教授法(例えばEMIやEFL等)よりも受講生の多様な学習ニーズに対応する柔軟性があると思われる。しかしながら先行研究においてはCLILの受講生の間で、言語学習と専門科目の学習両面において更なる支援ニーズが存在することが報告されている。
  したがって本研究においては、申請者が担当するCLILの授業において授業内発話の可視化による言語的支援とチャット機能による専門科目学習の支援を行い、それらの支援方法の成果を測定し評価を行った。具体的には、学期終了後に選択式回答形式と自由回答形式からなる質問紙調査を実施し、受講生がこれらの機能をどのような頻度や目的で使用し、それをどのように評価しているか分析した。量的データの分析は記述的統計手法、質的データはNivo(ソフトウェア)を用いて行った。
  調査の結果、回答者107名のうち3割の受講生がほぼ毎回の授業で、4割が14回中8回未満において、3割が0回可視化機能を活用していた。目的は教員の発話内容の理解確認が過半数を占め、他の目的には特定の語のつづりの確認、英語の授業に対する不安削減、課題内容の確認などが続いた。チャット機能に関しては3割の学生が月に1~2回、4割の学生が週に1回程度、3割が0回使用と回答していた。目的は発言、テクニカルエラー等の問題報告、授業内容に関する教員への質問、授業に関連する文献情報のリクエスト等が多かった。可視化機能とチャット機能において使用頻度の差は大きく見られたものの、到達目標の達成への貢献度に関しては両者ともに8割以上の回答者が貢献していると回答した。