表題番号:2023R-022 日付:2024/04/05
研究課題アト秒レーザーパルスによる光イオン化制御装置の作成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 新倉 弘倫
研究成果概要
気相の原子などに高強度のフェムト秒レーザーパルスを照射すると、極端紫外領域のアト秒レーザーパルス列(高次高調波)が発生する。発生した高次高調波と、赤外レーザーパルスなどを組み合わせて、気体の試料に集光して発生した光電子の運動量分布を測定することにより、原子や分子の電子ダイナミクスをアト秒精度で測定することができる。本研究者は新規に開発した方法により、気相原子から発生した光電子の波動関数の運動量空間での位相と振幅の分布を測定することに成功している。この方法は、新規開発の二次元アト秒光学系により、異なる波長の高次高調波のコヒーレント制御を用いたものである。本研究課題では、この二次元アト秒分光法を、原子や分子の光イオン化過程のイオン測定に対して適用する装置系を開発することを目的とした。具体的には、光電子を測定するためのマイクロチャンネルプレートを、光イオン化測定用に変換したものを用い、それを新たなvelocity map imaging用の電極に組み込む。今回はこれらの準備を行い、またアト秒(高次高調波)パルスと赤外レーザーパルスの時間差を、アト秒精度での時間差を保ったままで、数十フェムト秒~数百フェムト秒まで変化させることができる光学系の構築を行い、実際に測定によりその安定性が保たれていることを確認した。