表題番号:2023R-019 日付:2024/03/31
研究課題広域計測・高分解能・高サンプリング周波数を並立した画像振動計の開発と検証
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 准教授 松原 真己
研究成果概要

本研究では,広域かつ高分解能な画像振動計を目指し,デジタル画像処理手法の高分解能化について取り組んだ.材料の変位場や振動計測でよく利用されるDigital image correlation (DIC) 法では8bitカメラ,1/10-1/60 pixel分解能の範囲でよく利用されるが,広域計測と高分解能を両立するためには,ダウンサンプリング撮影の利用による取得画像の高画素数化および画像処理における変位分解能の改善が必要である.特に,振動計測を想定した場合,高周波数になるにつれて露光時間が短くなるため,画像取得が暗く高分解能な変位算出が困難である.そこで本研究では,ダウンサンプリング撮影の一種であるPhase-locked loop撮影に着目し,カメラがシャッターを開いている間に複数回ストロボ発光によって実際の露光時間を長くすること,輝度差のあるマーカーを準備できる積分ドット重心法を適用することで1/100pixel分解能を実現するシステムの開発に取り組む.積分ドット重心法は変位算出において内挿補間等の近似を含めない方法であり,明暗のある画像であれば高精度な変位算出が期待できる.提案手法では複数回のストロボ発光は同位相で等間隔に発行するが,次の撮影時にはタイムラグを与え少しだけ位相を変えて,同様の複数回発光を行う.そのため,高速で発光タイミングを制御する必要があるため,コントローラーとしてField Programmable Gate Array(FPGA)を採用した.実証実験では,静的および動的条件下での変位計測を行った.その結果,マーカーと背景色の輝度差が大きければ大きいほど分解能が改善することがわかり,マーカーの製作方法,複数回発光によってその輝度差が大きくかつ安定することがわかった.このことから輝度差のばらつきから,計測時の分解能関係を明らかにした.静的試験による検証および動的試験での加速度計との比較から良好な計測精度であることを確認した. 特に動的試験では,50Hzから1500Hzの範囲で検証した.その結果,8bitカメラを用いて 1/100pixel分解能を実現できることを確認した.