表題番号:2023R-015 日付:2024/02/06
研究課題ブレード型3Dディスプレイを用いた空中像コミュニケーションに関する実証的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 河合 隆史
研究成果概要
本研究では、ブレード型3Dディスプレイを用いて、単眼情報として提示された空中像を対象に、あたかも両眼情報のような(両眼情報「様」と呼称)奥行き感が生起される表現方法や有効範囲を明らかにすることを目的とした。それにより、空中像の奥行き手がかりを拡張し、3D空間内の特定位置や方向指示への応用性について実証的な検討を行った。

実証実験の背景として、公共空間における両眼情報を必要とする場面の増加があげられる。例えば、都心の地下鉄など駅構内におけるサインは、例えば、同一方向を示す二つの矢印が、それぞれ異なる位置を指示すなど、すでに役割を果たせていない。換言すれば、矢印を表現するのに単眼情報では奥行き手がかりが不足している状態といえる。これを空中像の奥行き手がかりを拡張し、両眼情報「様」の表現で奥行き手がかりを拡張できれば、両眼視のできない方も含め、大多数の人々にとって分かりやすい方向指示が可能となると考えた。

本研究では、両眼情報「様」表現の方向指示への応用可能性について、フィールドでの実証実験を行った。ブレード型3Dディスプレイの製造企業の協力を得て、2023年7月より福岡県福岡市にある映画館をフィールドとして、両眼情報「様」表現をエントランスに設置し、来場者への方向指示に利用した。本報告書の執筆時点(2024年2月)では、まだ最終的な結果は得られていないが、概ね分かりやすいと好評である旨、関係者より報告を受けている。