表題番号:2023R-013 日付:2024/04/05
研究課題証券市場における不実開示の抑止に向けた法的責任制度のあり方
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 和田 宗久
研究成果概要
 本研究は、証券市場において発行会社が不実開示を行い、法人としての当該発行会社が多数の投資家に対して民事責任(金融商品取引法(以下、「金商法」とする)21条の2に基づく責任、一般不法行為責任など)を負い得る場面を主に念頭に置き、そうした場面における法的な責任制度のあり方について、とくに、不法行為法において重要な目的・機能と位置づけられている「被害者たる投資家に生じた(経済的)損失に対する塡補」と「(そもそもの)不実開示の抑止」という観点から再検討を行い、中長期的には、「重要な虚偽記載等があった場合に投資家が集団的に会社から損害賠償を得る + それを(アメリカにおけるような)証券クラスアクションによって実現する」ということの意義について、可能であれば定量的に、何らかの形で明確に述べていくことを目指したものである。
 2023年度においては、具体的には、経済学や会計学で議論され、蓄積されている知見も用いて、とくに証券市場において不実開示を抑止するための発行会社その他関係者の責任制度のあり方を考えようとし、関連する文献等の分析を行った。また、とくにアメリカにおける証券クラスアクションの現状について、公開されている統計資料の分析を行い、本研究の上記の目的に適うアウトプットが出せるような視点や分析手法のあり方について探求を行った。
 現状では、いまだ上記の目的に対して、わかりやすいアウトプットは出せておらず、途中段階の成果について下記の研究会での報告を行ったに留まるが、2024年夏頃には論文としてアウトプットを出していきたいと考えている。