表題番号:2023R-003 日付:2024/03/30
研究課題冗長性を欠く行政組織の非常時対応-東日本大震災と新型コロナの経験から
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 大学院政治学研究科 教授 稲継 裕昭
研究成果概要
 本研究は、日本の地方自治体組織について、自治体毎の定員の経時変化と部署ごとの繁閑の差、非常時における部署間の相互応援システムの有無について明らかにし、平時のみでなく非常時にも即応できるレジリエントな組織体制の在り方を探索しようとするものである。
 日本の地方自治体は、国際比較すると極めて少ない人員で大量の業務を行ってきた。(諸外国に比べれば)平時における勤務密度は高い。しかしながら、非常時においては、組織全体としては機能不全に陥ることになった(東日本大震災時や新型コロナ感染症蔓延時)。これは、業務の繁閑に大きな差がある部署間の調整や応援システムがうまく機能しなかったことによる。
 本研究では、自治体へのヒアリング、全自治体アンケート調査、諸外国の自治体比較を進めることによって、冗長性を欠きつつも平時には組織全体として機能している自治体組織体制が、非常時には部署間の調整・応援が十分でないために機能不全に陥ることを明らかにし、今後、平時のみでなく非常時においても柔軟に即応できるレジリエントな組織体制を作るにはどうすればよいのかを提言しようと考えた。
 自治体に対する調査を行い、また、諸外国比較も行いつつある。今後、他の研究費を獲得し、より詳細に調査研究を進める予定である。