研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 教授 | 山崎 淳司 |
- 研究成果概要
日本に産するケイ酸塩鉱物資源についてデータベース検索して産地を抽出し、現地調査、採取鉱石分析した中から、高品位、高活性(低結晶質~非晶質)、十分な可採鉱量であるが、未利用または低付加価値利用しかされていないものとして、鹿児島県南東部の特定地層から産するパミス(軽石)、鳥取県倉吉粘土から精製された「みそ土」を最も有効な原料鉱石として選定し、高機能性ナノ細孔質ケイ酸塩素材の出発物質として検討した。そのうち、パミスは、90 wt%以上の高純度かつ重金属類をほとんど含まず、X線回折で非晶質パターンを示すオパール質ケイ酸であり、「みそ土」は、非晶質アルミナケイ酸粘土鉱物であるアロフェン(SiO2/Al2O3≒ 1)を主成分とするケイ酸(塩)原料鉱石であることがわかった。このいずれか、または両方を用いた、SiO2/Al2O3比を調製した混合粉末に、アルカリ塩化物水溶液と適当な種結晶を加えて、60 ℃~150 ℃水熱処理することにより、30 kPa以上の圧縮強度を示すジオポリマーモルタル、およびLTA、FAU、CHA、FER型の高結晶性単相ゼオライトを作成することに成功した。得られた各種生成物は、工業原料から作成したものと同等の結晶性を有するが、異なる形状(晶癖、粒径、比表面積・細孔分布)、陽イオン交換容量、重金属を含む交換性イオン選択性を示すことがわかった。さらに、それぞれ特徴的なベンゼン、アセトアルデヒドガスの吸着・触媒分解活性を示すこと、アミン系またはメチレンブルー水溶液の吸着、分解または重合化反応を示すことがわかった。そして、酸素、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムガスについて、-100 kPa~100 kPaの圧力スイング吸着試験により、本方法で調製したNa-X型FAUゼオライトが、最も単位質量当たりの二酸化炭素の選択的吸着量と濃縮率に優れていることが示された。